成長ホルモン療法とは?

低身長の治療でよく聞くのが「成長ホルモン療法」です。「毎食3回くらい成長ホルモンという薬の飲むのかな?」と風邪薬的なことが頭に浮かびますが、実はそれほど容易なことではありません。しかも低身長だからといって、何でも成長ホルモン療法ができるわけでもありません。では、どのような場合に投与できて、どのような方法で治療していくのでしょうか。

 

成長ホルモン療法ができる場合できない場合

成長ホルモン療法は、専門医が問診や検査をして原因を調べて判断をするものです。低身長の度合いや速度などに応じて判断したり、負荷検査などをして成長ホルモンの分泌が正常であるかなどを確認します。成長ホルモン治療が認められている疾患は成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、慢性腎不全、プラダーウィリー症候群、SGA性低身長症・軟骨異栄養症です。

逆に身長が低いのに成長ホルモン療法が難しい場合があります。糖尿病は糖・脂質の代謝が悪化するので身長の伸びが悪くなります。が、成長ホルモンには血糖を上げる効果があるので、糖尿病が悪化してしまうことになります。原則的に投与禁止ということですね。悪性腫瘍などが有る場合も低身長の傾向があったりしますが、成長ホルモンは細胞を増殖させる働きがあるので、悪性の腫瘍細胞まで増殖する可能性があります。これも原則投与禁止です。ただし、脳下垂体周辺にできた腫瘍などの場合は、成長ホルモン分泌不全がみられたりします。この場合は腫瘍を抑制した後に再発がないことを確認して投与したりしますから、主治医とよく相談することが必要です。腎臓や心臓の病気の場合は、成長ホルモンを投与すると水がたまる傾向があるので、投与の場合は慎重を求められます。脊椎側わん症という背骨が曲がっていく病気についても、成長ホルモン療法をすると湾曲の度合いが強くなってしまうこともあります。これも主治医と相談してみましょう。

 

成長ホルモン療法はどのような治療か

成長ホルモン療法は内服での投与は現在の日本ではありません。昔は病院に通って注射をしていましたが、現在は在宅で自分で注射をして治療ができるようになりました。量は体重によって変わってくるので、定期的に通院して身長体重を測り注射量を調整していきます。注射量は1週間単位で考えられていて、総量を6~7日で割る計算になりますね。毎日夜眠る前に自宅で皮下注射することになります。自然に成長ホルモンが分泌される夜間に合わせて投与するほうが、背を伸ばす効果があるといわれています。

 

注射は毎日親がしてあげるのか?

成長ホルモン治療をすることになったら、毎日親が子供が思春期を過ぎるまで注射をしてあげなければいけないのでしょうか? 注射をするとなると、採血の時のようなゴツイ注射と針を想像してしまいますが、実は成長ホルモン治療で使う注射は糖尿病のインスリン注射などにしようするような在宅用です。針は細く短く、刺す具合も「グサッ」という感じよりも「チクッ」という感じでしょう。注射器はペンタイプで、注射量もダイヤル式で分かりやすく、針の交換などもしやすくなっています。

注射をする注意点としては、薬剤が皮膚上に溜まらないようにしっかりと針を刺すこと。血が逆流しないように抜く事。注射を繰り返しした部分の皮膚は堅くなってしまいシコリになりがちなので、毎日注射可能な部分(腕や太ももや臀部)などをローテーションで変えていくことです。1日1日が大切な治療になります。薬剤がしっかり入らずに皮膚上に溜めてしまうのは、結局投与量が足りなくなります。血が逆流して薬剤を汚してしまうと一本注射をダメにしてしまいます。用法をしっかり守って、親は子供に伝達して自ら「身長を伸ばそう」という気持ちと共に注射できるよう指導していきましょう。必要とあれば、看護師や薬剤師の先生が最初指導してくれることもあります。