甲状腺機能低下症は影響する?

成長ホルモン分泌不全症は成長に必要な成長ホルモンがどのような理由であれ不足しているとあって、低身長に大きく関わってきます。同時に甲状腺機能低下症という病名も聞き及んだりすると思いますが、甲状腺機能低下症は低身長には影響するのでしょうか。また、甲状腺とはそもそもどんなもので、どんな役割を持つものなのでしょうか。不足するとどのような症状が出るものなのでしょうか。

 

甲状腺と甲状腺ホルモン

甲状腺という身体の器官は聞いたことがある方が多いと思います。有名な女性歌手で、甲状腺の病気であるバセドウ病を患って休業し復活した方もいらっしゃいますから、ご存知の方も多いでしょう。

甲状腺は身体全体の新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンを出すところで、喉ぼとけの両側にあります。大きさは親指くらいのものですが、この甲状腺から出るホルモンが無くなると1~2ヶ月しか生きられないといわれるくらい、人間が生きて行く上でとても大切な器官です。甲状腺ホルモンの量は、脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモンで調整されています。つまり、脳下垂体が甲状腺に「頑張ってホルモンを出せ!」という指令を甲状腺刺激ホルモンとして出します。それを受けて甲状腺はホルモンを出して身体を健康に健やかな成長のために働くのです。低身長の場合に脳下垂体の異常を疑われるのはこの点で、甲状腺への命令が不足しているかもしれないということです。しかし脳下垂体が異常なしの場合は、甲状腺そのものの機能低下が疑われます。甲状腺ホルモンが元気に分泌されている場合は、脳下垂体は一生懸命指令しなくてもよいので、甲状腺刺激ホルモンが減ることになります。

甲状腺ホルモンは血液検査で測ることができます。

 

甲状腺機能低下症は身長に影響する?

「成長ホルモン分泌が低下するなら身長に影響するだろうけれど、甲状腺の機能が低下しても身長に影響するのか?」という疑問が出てきますね。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは身体の代謝を活発にしたり、成長や発達に必須のホルモンになります。甲状腺機能が低下すると、身長が低いだけでなく生活面や発達面でも色々な支障がでてきてしまうのです。倦怠感や抑うつ、記憶力低下、体温低下や脱毛などの症状が出たりします。一見、ちょっとノンビリした子供だなとしかイメージされないところが、発見されにくいところです。 身長を伸ばしていくには、成長ホルモンも甲状腺ホルモンも両方必要です。脳下垂体に異常がないのに甲状腺ホルモンが不足しているとなると、甲状腺を応援してあげて甲状腺ホルモンを出すようにします。これにはチラージンSという投薬をしたりします。同時に成長ホルモンも不足していることが多いので、合わせて成長ホルモンを注射療法することもあります。

 

甲状腺機能低下症の原因は?

甲状腺機能低下症の原因として、胎内での成長過程で甲状腺が無いという無形成タイプや、甲状腺が首の前面ではないところあったりすることがあげられます。また、甲状腺ホルモンを合成する機能に問題があったり、甲状腺に指令をする脳下垂体などに異常があるものなどが考えられます。が、はっきりとした原因が分からないということも多々あります。低身長などの症状で来院する際には、医師に検査結果などをよく聞いて、合わせて治療できるよう相談していきたいところです。

ちなみに、生まれた時から甲状腺機能が低下している赤ちゃんがいます。先天性甲状腺機能低下症で、クレチン症とも呼ばれます。日本では3000から4000人に1人の確率と言われていますが、早期発見し甲状腺ホルモンの内服療法を行えば、正常に成長できることが分かっています。