成長ホルモン分泌不全性低身長とは?

人間の身体が大人の体へ成長していくのに必要なことは何でしょうか。栄養や睡眠、適度な運動や体の疾患がないことなどがすぐに思い当たるかと思います。もちろん、これらのどれが欠けても本来の子供の持っている成長する力が全力発揮されないといえるでしょう。成長するのに妙薬などはないのです。しかし、あえて妙薬近いものといえば、甲状腺から分泌される成長ホルモンでしょう。人間は大人の体になるにあたって、このホルモンが必須です。これが分泌されないと色々な弊害の説はありますが、一番顕著なものが低身長です。これを成長ホルモン不分泌性低身長といいます。

 

成長ホルモン分泌不全性低身長とは

単刀直入にいうと「成長ホルモンが分泌不足が原因でおこる低身長」ということです。まさに読んで字の如くという感じですが、最近まで下垂体性小人症と呼ばれていました。というのは、脳下垂体からの成長ホルモン分泌が低下したり欠如していたりする障害だからです。これは遺伝性を含むものよりも特発性という原因不明のものがほとんどを占めます。脳下垂体に腫瘍があったりすると、機能が阻害されて甲状腺に「成長ホルモンを出しなさい」という命令が伝わらなかったりするので、まずは脳下垂体、そして甲状腺の機能を検査したりもします。

 

チャンスは母子手帳

成長ホルモン分泌不全性低身長症であることで成長ホルモンが著しく少ないと判断されると、成長ホルモンを投与する治療を受けることができます。この治療の成長ホルモンは非常に高価であることから、承認を取るために入院して検査を受けたりしなければなりませんが、その前にやることがあります。それは成長曲線を記入していく事です。子供がお腹に居る時からもらっている母子手帳、これには出産後の赤ちゃんの身長体重を記入するところがあります。また、定期健診などの記入欄もあります。これらを真面目に記載していくことで、早期に低身長の予兆をとらえる事ができるのです。ぜひ、母子手帳を記入し終わっても成長曲線はつけていきたいもので、「もしかして低身長?」と思ったら、さらに詳しい曲線がのっているグラフに記載していくと、医師にかかる時に説明がほとんどいらないくらいです。

成長ホルモンが不足している場合、成長ホルモンを投与するのは早いほうが良いのですから、その前段階のデータ集めはたとえ空振りになっても良いのでしておきたいところです。最初はそう目立たなかった低身長が、成長するにしたがって正常な成長曲線から離れていくことがあるからです。

 

検査と診断の実際

まずは成長曲線のグラフに身長の伸びの様子を書き込むところから始ります。一番下の2SD曲線に沿うようなところでも、そこから引き離されなければとりあえず特別異常とはみなされない事が多いです。しかし、曲線から離れていく場合は検査へ踏み切ります。この検査は成長ホルモンがどれだけ分泌されるかを調べるもので、成長ホルモン分泌刺激試験といわれています。身体に負荷をかけてから尿を採り調べますが、これを入院して点滴をしながら2~3日かけて測定します。

ただし、新生児で低血糖がある場合や、他の下垂体ホルモン分泌不全がある場合、脳腫瘍がある場合などは、少ない刺激試験で診断を下します。

 

成長ホルモン分泌不全性低身長の治療

毎日飲み薬程度でしたら、まだ負担は軽いのですが、今の日本では成長ホルモンは注射でしか投与することができません。もちろん毎日のことなので家庭では病院で使用するようなちゃんとした長い針のものではなく、短くて細い針を筋肉注射します。体重などから割り出した量を1週間かけて分割して注射していきますが、体重が増えると量が変わります。1ヶ月から2ヶ月で病院に通い、身長体重を確認して薬を処方されます。18歳までか、一定の身長に達するまでこの治療が続きますから、親も子供もそれなりの覚悟をして始めることになります。が、子供の将来を考えると、大人になっても子ども同様の身長しかないというのは、その後の社会生活に影響を与えるかもしれません。命に別状はない病気だとはいえ、親がしてあげられる最大のことだと思います。

 

アルゼンチンのサッカー選手・メッシ

低身長であることから運動選手を諦めてしまう子供もいます。確かに、たいていのスポーツはある程度の身長を要求するものが多いですね。しかし、サッカーで有名なアルゼンチンの選手メッシは、この成長ホルモン分泌不全性低身長です。今は大柄とはいえないかもしれませんが、普通の身長で素晴らしい活躍をしています。彼はサッカーの才能を認められて、サッカーをするという条件で成長ホルモンの投与という治療を受けることができたのです。そして、今の努力のしがいがある彼があるのです。