甲状腺と低身長症

低身長症と甲状腺機能の関係はとても濃いものです。成長ホルモンは脳下垂体が各機関に命令して分泌しますが、その中でも甲状腺ホルモンは身体の代謝を高めたりしますから、甲状腺機能低下症になると心身の成長にも大きく関わってきます。

では、低身長症と甲状腺がどのように関わっているのか、またその薬はどういったものがあるのかを見てみましょう。

 

甲状腺機能低下症とは?

甲状腺というのは、喉の前の部分の下当たりの両側にあります。脳下垂体から指令を受けると、この甲状腺が身体の発育に必要な甲状腺ホルモンなどを分泌してくれます。カルシウムの代謝に必要なカルシトニンを分泌したりもするので、子供の成長にはとても大切だと分かりますね。

この甲状腺の機能の働きが良くなくなる病気が「甲状腺機能低下症」です。生まれつきのものは「先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)」で、出生後小学生くらいに発病するものを「後天性甲状腺機能低下症」といいます。

成長ホルモンが不足しているだけならば身長が伸びないという程度の症状ですが、甲状腺ホルモンは不足すると身長が伸びないだけでなく、全身にわたり影響が出てきます。代謝機能を司るので、倦怠感や記憶力低下、体温低下や脱毛などの症状が出てきます。悪いことに、子供の頃は「ちょっとボーっとした子だな」というくらいに見過ごされ「大人になるとそのうちにシャキッとなるだろう」などと思い込みがちですね。また、一つひとつの症状を分離して考えると、動きが鈍いならスポーツクラブに、記憶力低下なら学習塾に入れなくてはなどと違う方向に行ってしまいがちなのが実は親にとって要注意なのです。発見し、病院に行き検査をして治療する。タイミングもありますが、大切な子供の第一歩であります。早期の治療をしない場合、知能にも障害が出ることもあり、早期の発見治療が必要なのです。

 

脳下垂体と甲状腺

身長が伸びることに重要な成長ホルモンと甲状腺ホルモンに共通する重要な役割の部分は脳下垂体です。「では、成長ホルモンと甲状腺ホルモンと両方足りないとなると、1日2本も注射をうつの?」と思いがちですが、甲状腺ホルモンは錠剤や顆粒の飲み薬があります。この身体を司るホルモン関係は複雑な影響力があるので、成長ホルモンの負荷検査をした場合に甲状腺ホルモンなども弱いとなれば、そちらも補充していきます。成長ホルモン・甲状腺ホルモン・生活環境や精神的なものなど、どれも身長のために思春期の終わりを目指して補充し増加させます。中高生まで長い期間ではありますが、それは子供の人生においては、ほんの一区切りの時間で、その期間に一気に身長反映に攻め上げていきます。

 

甲状腺ホルモンの薬とその行方

甲状腺ホルモンが明らかに不足だという場合だけでなく、成長ホルモンの分泌を応援する意味合いで甲状腺ホルモンの薬の投与が行われたりします。複雑なホルモン系統は、はっきりと腫瘍などが見つかるなどがない限り、なかなかはっきりした原因が分からないものです。しかし機能が不足しているということはハッキリしているので、甲状腺も身長の伸びの助けに陰ながら参加するわけです。その場合「チラーヂンS」という薬が用いられることが多いですね。幼児などは量を調節する都合上、顆粒で処方されることが多いです。

さて、やがて身長が小児慢性特定疾患の受給範囲を超えたり、手の骨のレントゲンで骨年齢が達していたりすると、成長ホルモン治療は終わりになります。ところが、ここで「甲状腺ホルモンのチラーヂンも終わり」とカッチリと終る事ができません。身体の代謝などを司り、ホルモン不足は身体の調子を左右するものですから、突然0にすることができません。検査をした後に着地点をさぐりながら薬を調整していく方法が一般的です。検査で影響がないという場合も、いきなり明日から全く0ということもありません

ここでちょっと疑問なのが「小児慢性特定疾患がなくなるのに、甲状腺ホルモンの治療は続けていけるのか」ということでしょう。この場合、成長ホルモンの注射よりもずっと安価で、一ヶ月あたり2~300円くらいの負担金ということですから、別段受給票がなくてもという方が多いですね。

本格的な甲状腺機能低下症である場合、チラーヂンなどはずっと服用することになります。